藤丸のブログ

組織人事コンサルタントの藤丸が日々考えてることを綴っていきます。

【書評】等級制度の教科書(堀田達也)

人事コンサルタントや事業会社の人事担当者にこれからなる方に、まずどんなことを勉強すれば良いですか?と聞かれることがありますが、そんな時にはまずは本書を紹介するようにしています。
本書で詳しく解説されている「等級制度」とは、従業員を能力・職務・役割などによって区分し、それをもとに権限や責任、処遇などを決めることのできる、言わば人事制度の根幹となるものです。
また、各企業で求める人材像などを表すものにもなります。
 
そのような人事制度の根幹となる制度にも関わらず、当たり前すぎるのか意外と「等級制度」そのものを解説している書籍は少ないように思います。
その点、この書籍は「等級制度」を初学者でも分かりやすいように詳しく解説をしている数少ない本であると思います。(目標管理制度や評価制度などについての書籍は割とたくさん市場に出回っているのですが、等級制度についての書籍はなぜか少ないです)
著者の堀田達也氏は、直接お目にかかったことはないのですが、三菱UFJリサーチ&コンサルティングにて長年組織人事のコンサルティングに携わり人事に精通している方で、本書も大変詳しく書かれています。
 
等級制度には、大きくわけて「職能資格制度」、「職務等級制度」、「役割等級制度」の3つの制度があります。
簡単に言うと「職能資格制度」は「能力」を「職務等級制度」は「職務」を「役割等級制度」は「役割」を基軸とする制度です。社員の能力の向上を重視するのか、社員の成果(目標の達成度)を重視するのか、社員の役割の拡大を重視するのかといった違いです。
どの制度が良いといったものは無く、それぞれにメリット・デメリットがあり、経営戦略や外部環境の変化によってもどの制度を運用するべきかが変わってきます。
 
日本の企業では、これまで職能資格制度を採用していた企業が多かったのですが、最近は職務等級制度・役割等級制度に改定している企業が多くあります。(もっともいき過ぎた成果主義からの揺り戻しにより、職能等級制度に戻している企業もたくさんありますが。)
外部環境の早い変化に合わせた柔軟な組織づくりや、高齢化社会による賃金制度の見直しなどで、これからますます人事制度改定の必要性は増していくと考えられます。
 
本書では、各制度のメリット・デメリットや導入の進め方、等級制度と人事諸制度との関係(賃金制度、目標管理制度、評価制度など)などが著者の経験を踏まえながら、分かりやすく記載されています。
そのため、人事コンサルティング業界に転職する方や事業会社の人事に担当された方が最初に読むと頭が整理されると思います。本書を読む際には、自社の人事制度やクライアント企業の人事制度を念頭に置いて比較しながら読むと理解が深まるかと思います。

 

等級制度の教科書―働く人と組織の価値観に柔軟に対応するために <教科書シリーズ>

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