【書評】僕がコントや演劇のために考えていること(小林賢太郎)
私は昔からラーメンズのコントが好きで、 DVDやyoutubeなどでよく見ています。 知っている方も多いと思いますが、 ラーメンズは1996年に結成されたお笑いコンビで、 過去にはテレビによく出演していたものの、 今は舞台を主な活動の場としています。
ラーメンズのコントは圧倒的に面白く、知的であり、 数あるお笑い芸人の中で独自の地位を築いています。
小林賢太郎さんはもちろん非常に才能のある方だと思うのですが、 この本を読むと、徹底的な顧客主義に基づき「狙って」 観客を楽しませることのできるプロフェッショナルな方なのだと感 じました。仕事に対するそのような姿勢や考え方は、 お笑い芸人ではない平凡なサラリーマンの私にとっても非常に勉強 になることが多くありました。
特に、印象に残ったのは下記のような記述でした。
自分は何が好きなのかを知り、なぜ好きなのかまで考える
小林さんは、「自分が何が好きか」、「なぜそれが好きなのか」 を考えることは表現者にとって非常に重要なことだと言います。 なんとなくということは絶対になく、 徹底的に考えることの重要性を説きます。「何が好きか」 だけでは不十分で、「なぜ好きか」 まで考えると自分の中にある価値観に辿り着くことができ、 それがオリジナルの創作活動につながるからです。
お客さんを楽しませるために、お客さんになる
小林さんは舞台に限らず、スポーツ観戦や普段の外食に至るまで、 お客さんとしての経験を大切にしているそうです。 お客さんの立場・ 考え方を身を持って学ぶことはもちろん大切ですが、 こういった第一線で長らく活躍している方にとってもお客さんの視 点を学び続ける姿勢を持ち続けていることに改めて気付かされまし た。逆に言うと、 お客さんの移り変わるニーズを常に捉えているからこそ、 長い間活躍しているということなんだと思います。
また、 本業に限らず何気なく日常で使っているサービスに目を向けること にも、新しい発見があるかもしれないと思いました。
「想像筋」は調べないことで鍛えられる
これは完全に意見が一致するのですが、 何か分からないことがあったときに調べないで想像してみることは とても重要だと感じています。
現代では、 スマホを片手に分からないことはすぐに調べられる状況にあるので 、「想像する」 経験がどんどん少なくなってきているように感じます。 ひどい方だと、「考える」=「検索する」 となってしまっている場合もあります。
情報を集める力と限られた情報を使って考えることは全く違うこと です。
私も何か分からないことがあったときには、 意図的に調べないで考えてみるようにすることもあります。
そうすることで、想像する力、 考える力が鍛えられると思うからです。